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これ以上あの澄んだ目に
醜態を晒すのが辛かったんだ。
これ以上彼を
がっかりさせるのも――。
そのうち。
明かりが灯った
古い木造造りの別荘から
現れた凛とした大きな影が。
「置いてけぼりか」
子供を攫う魔王のように
震える僕の前に立ちはだかった。
「ま、無理もないな」
感情のない声が吐き捨てる。
「愛した男がメイド服着た変態趣味の淫乱で――その上救いようのない薬中だったと知ったら。なあ?」
こちらはまた
打って変わって
身も蓋もない言われよう――。
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