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どれだけ責められても
今の僕には返す言葉もなかった。
目覚めの虚無。
倦怠感。
焦燥感。
「こんなはずじゃ……ないのに……」
薬が切れると
みんないっぺんに襲い掛かってくる。
「どう考えても変だ……」
僕は焦点の合わない目で
ひとり言のように呟いた。
未認可とはいえ
僕が飲んでいた薬はただの精神薬で。
ここまでひどい副作用に見舞われるはずはなかった。
(もしかしたら――)
僕が一つの恐ろしい答えに辿りついた
瞬間。
「おまえみたいなひねくれ者が、なぜ今まで気付かなかった?」
膝からカクンと屑折れる僕を
征司は片腕ですくい上げ
「あの男に騙されたのさ」
怒りに燃える目で言った。
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