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言われなくても
メイドの真似事した時点で十分――。
いやもっと前から
自分が馬鹿なことぐらい気づいてる。
「それで?」
「それでって?」
「お兄様が治して下さるの……?」
こんな山奥に
また馬鹿な僕と二人きり籠って――。
見つめあう。
征司の瞳が揺らぐ。
この人にだって
どうしたらいいか分からないことがあるんだ。
だけど天宮征司は強い。
けっして『できない』なんて言わない男だ。
「俺に任せろ」
胸を張って言うと
「多少手荒な手は使うがな」
征司はかすかに笑って
僕を軽々抱き上げた。
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