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危険だ。
「怖いよ……征司お兄様」
僕はこの胸に抱かれると
すべてを預けてしまいたくなる。
それが伝わるからこそ
この人だって
「その声――また性懲りもなく男を誘ってるのかよ?」
抑えが効かなくなるんだ。
部屋の中に入ると
征司は暗いリビングの年代物のソファーの上に僕を下した。
「電気通ってないの?」
「ずっと使ってなかったから切断されてんだ」
テーブルに並べられた
ガラスのキャンドルホルダーに
次々灯される小さな灯り。
「明日になったら――」
「いいよ。このままで」
僕は征司の手を止め引き寄せた。
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