episode185 フェミニストと訳ありの生贄②

25/30
前へ
/30ページ
次へ
「今は――何にも要らない」 しっとりと体中汗ばむほどなのに 妙な寒気に唇が震える。 心も身体も コントロールを失って 幻想の中を泳ぐようだ。 「影が怖い」 「ただの影だ」 「それでも怖いの!」 壁に延びる黒い影が恐ろしく 僕は征司にしがみついた。 「おまえ、子供みたいに……」 撥ねつけようとしたその手が 「おい……」 僕の泣き顔を見て行き場をなくす。 拳を握り しばらく戸惑った挙句。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

164人が本棚に入れています
本棚に追加