164人が本棚に入れています
本棚に追加
「まいったな」
メソメソする僕が
予想外だったのか。
「順序が違う。俺は暴れるおまえを縛りあげて力尽く捩じ伏せてやるのが役目だ。こういう湿っぽいのは――」
3日後のお義兄様の役目。
征司は思わず口走る。
「いいか和樹――俺は」
肩をすくめると
自分の頭の中を整理するように
「人の悩みを聞いて、慰めてやるほど優しかないんだ」
征司は言った。
「特におまえがヘマしてメイドの格好で男に奉仕させられた話や、それが原因で女物の下着で人前に出るはめになった話を……」
言いながらきっと
頭に血がのぼったんだ。
「ああ、クソ!」
征司は手近にあったクッションを
壁に向かって投げつけた。
最初のコメントを投稿しよう!