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日曜日の早朝。 男はいつもの店の端に座っていた。 タバコの煙が宙を漂い、オレンジ色の電球の光が煙を色づける。 分厚いコートを羽織った男は店のオーナーに人差し指を立てると、オーナーはコーヒーを容れ始めた。 「今朝の新聞読んだか」 男がタバコを吸いながら言った。 「サッカー試合のことですか?」 オーナーが白いカップのコーヒーを、男の前の木の机に置いた。 「おい、今朝一面を飾ってたのは娼婦虐殺事件だぞ。君はスポーツ新聞しか読まないのかね?」 男はタバコを灰皿に乗せると煙を吐き、コーヒーにミルクを入れる。 「スポーツ新聞は読みません、興味がないんですよ」 「じゃあ新聞社が違うのか」 男はコーヒーカップを手に取った。 「虐殺事件がどうしました?」 「人間はよくわからない。なんだって殺す」 「わかってるじゃないですか」 「だからわからないんだ」 男はコーヒーに口をつける。 すると店に若い男性が入ってきた。 顔中に火傷があり、着こんでいるスーツはぼろぼろだった。 その男性が男の前に立つと、机に3枚の写真を置いた。 男はコーヒーカップを戻すと、写真を取った。そしてまじまじと眺める。 「うーん、悪くない」 「…………」 男性はズタズタなわりに疲れてるようには見えず、背筋良く立っている。 「ほら」 男はコートの懐から分厚い封筒を出すと、机に置いた。 男性はそれを受け取ると中を確認した。 大量の札束を指でめくって数を数える。 「…………。五千ドル足らない」 「ああ」 男はさっきの写真のうち1枚を見せた。 「君が使ったのは.45口径だな。この写真を見る限り、こいつは.38口径に撃たれてる。税金泥棒の流れ弾だな」 「…………」 男性は黙って封筒をぼろぼろスーツの懐にしまうと、店を出ていった。 男はタバコを取って吸う。 「大変ですね」 オーナーが皿洗いを始めながら言った。 「いつものことだよ」 男性と入れ違いに、別の男性が入ってきた。
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