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男は今度は机の下にあったバックからアルバムを出した。 「息子さんのですか?」 食器を拭きながらオーナーが言った。 「いや、目標の息子だ」 「株主の?」 「違う、別に個人的に恨んでる野郎さ。株主はガキだ」 しばらくすると、病気のようにヒョロッと痩せた男が踊るような足どりで店に入ってきた。 その客はオーナーに近いところに座った。 「あんー、ウィンナーコーヒーある?」 客が陽気な声で言った。 「あいよ」 オーナーはコーヒーを入れる。 客は手遊びを始めると、男を見た。 「それ、マリファナ?」 客が男の吸うタバコを指して言った。 「よくわかったな」 「臭いますよ」 「そうか。悪かった」 そう言って男はタバコを吸い続ける。 「ほい、ウィンナーコーヒーだよ」 オーナーは客の机にコーヒーを置いた。 「どもっす!」 すると、客はコーヒーカップの前に紙を置いた。 そしてズボンのポケットから粉薬を出すと、紙の上に流した。その粉をコーヒーと付いてきたスプーンで縦にいくつか分ける。そして立ち上がった。 客は粉薬の袋をゴミ箱に捨てると、オーナーに頭を下げて店を出ていった。 「おい! コーヒー飲んでないぞ!」 オーナーが客を追おうとすると、店の前に黒のリムジンが停まった。
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