初対面

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出棺の準備で外に出された 見知らない人達が大勢いる 「茉央ちゃん」 振り向くと、手招きしながら笑顔を向けて くれる人が 「あ、マスター…お久しぶりです」 足早に近づいて挨拶した 「来てくれたんだね。何年ぶりかなぁ」 本当に何年ぶりか、変わらない優しい笑顔 に懐かしさを感じる 「女らしくなって(笑)」 「でしょ?(笑)」 葬式に似つかわしくない会話だなぁと思い ながらマスターの周りに知った顔を見つけ て、頭を軽く下げる 「真央ちゃんは事情知ってるの?」 突然、真顔で言われ私も真顔に戻る この人は、私がどこまで関わってるか知っ ているのだろうか… 「はい…」 「そっかぁ。連絡とってたの?」 「はい。たまに会ってましたよ」 ちょっと驚いた様子で、私を見つめると 「そうか…バカだよなぁ。あいつ」 苦笑い 「バカですよね」 私も苦笑い。 「こっちにはいつまでいるの?」 優しい顔で言われた 「葬儀が終われば帰ります。もぅ、あいつ がいなきゃ来る事も無いかなぁ…」 「寂しくなるね」 頭をぽんぽんと撫でられる 私の事情を知ってるのか知らないのか 深くは聞かないでいてくれた 「来てませんね」 聞かないでくれてる優しいマスターに 私から爆弾を投下する 苦笑いで何もかも知ってるかのように 「来れないだろ」 答えてくれた 会場を何度も見渡して探してた 居たら、私はどんな行動をしただろうか 「来たら、葬式どころじゃなくなるだろう な。」 苦笑いのまま、マスターが言った
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