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「わたしは裕ちゃんを信じてます!……それに、もし、……もし裕ちゃんが犯人だったとしても琴音さんにちゃんと償って欲しいと思ってます。だからお願いします。胃潰瘍部のみなさんの力を貸してください!」
菜々の目に決意と覚悟を見た胃潰瘍部の面々はこうして依頼者のために無実の罪を晴らすことと自分たちの好奇心を満たす為ために依頼を受けることにした。
「ふふ、頑張りましょうね!うさぎちゃん」
「う、うさぎですか?」
「宇佐木さんだからうさぎちゃん。ふふ、貴方の可愛らしさにもぴったりな呼び名でしょう?わたくしね、以前からウサギちゃんのお世話をしてみたかったの。ねえ、うさぎちゃん?もしよかったら、事件が解決したらわたくしのお家に遊びにいらっしゃらない?一緒にお茶でもしませんこと?」
「え、え、あ、あの?」
百合香は普段から淑やか女性であるが、好きなものを前にしたときは別だった。2割り増しで饒舌になり、過ぎた言動が目立つようになる。彼女の3つある好物のうちの1つは可愛らしいものや小動物。つまり、菜々は百合香のど真ん中だ。
そして彼女がこうやって自宅に招待するのはその子を気に入った証拠だ。それと同時に、誘った相手が「信頼するに値する人物」であることの証明でもある。昔から様々な大人を見てきた所為か、百合香はその人の本質を見抜く力に長けていて、害をなすような人間ならば自宅でもてなすなどということは社交辞令でも言わない。
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