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「じゃあ、行こう!」
戸締りと電気の確認をして面々が廊下に出た頃には、日中なのに物音一つしない不気味さに包まれていた。菜々が部室に来てから一時間半ほど経ち、他の部活はちょうど昼時のようだ。
「あの、ゆ、百合香先輩」
宗二が部室に鍵をかけている後ろで菜々は呼び慣れない名前に吃りつつ、噂で耳にしていたことについて触れてみた。
「依頼料が必要って聞いたんですけど」
「あら、うさぎちゃんは払わなくてもいいのよ。胃潰瘍部はね、困りごとだったらなんでもお受けして解決するの。その対価として、面白い事件があったら教えていただくのよ。それが依頼料なの」
「一つの依頼を解決するごとにかかる料金は事件一つってことだね。例外として、依頼内容が事件解決だったときにはその規則は免除されるんだ。今回の君のような場合だね」
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