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町並みを一望できる高台に建つ県立梅ヶ丘高等学校は県内での知名度が非常に高い。
それは、明治時代に開校されたという長い歴史の中で培われたものでもないし、国立大学への進学率が高いとか、部活で全国大会に出場した経験があるとかの功績によるものでもなかった。
偏差値は中の下、運動部は良くて予選大会の三回戦進出。そんな特に目立った成績を残していない平凡な高校が数年前から知名度を上げ、今では県内に住む大方の人々が梅ヶ丘の名前を知るまでに至ったのは何故なのか。
きっかけは4年前の夏に4人の生徒が立ち上げた同好会にあった。彼らはどこの部活にも所属していなかった。というか出来なかったのである。ひとりは集団行動が苦手、ひとりは飽き性のため、ひとりは虚弱体質で、さらにひとりは他の生徒から恐れられていて。それぞれの事情を抱えた彼らは、ならば自分たちのための部活を作ればいいじゃないか、と立ち上げに乗り出したのである。
そして、完成したのが、「依頼を鮮やかに解決してみせましょう部」、略して胃潰瘍部だ。4年前の出来事である。
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