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すっかり日は落ちて、空に星が瞬いていた。そして、見覚えのある景色にたどり着いた。ここは、あの公園だ。
そうか、ボクひとりじゃ帰れないな・・・。そう思い、公園に入る。彼女は、もう鎖を見つけただろうか。それとも、まだ探しているのかな。どこだったかな、ボクが木から落ちた場所は。
歩いているうちに、また見覚えのある場所にたどり着く。そうだ、ここ、確か歩いたな。でも、鎖が切れたのはもっと奥で──。
──あっ!あそこだ、ボクが落ちた場所!
一気に駆け寄る。そう、たぶんこの辺り。周りが木に囲まれていて、ぽつんぽつんと街灯とベンチがある。その少し離れた場所に、滑り台やブランコ、ジャングルジムがある。
どうしよう。もう一度木に登るか?でも、もう記憶は失いたくないな。
「レオ!」
唐突に、懐かしい声が聞こえた。思わず振り返る。そこには、懐かしいウェーブの髪。
「ユキナ!」
ボクは嬉しくなって、駆け寄った。彼女の胸に飛び込んだボクをしっかりと抱き止めてくれて、そのままぺたんと座り込む。
「$+/'&.:!」
ボクはひたすら彼女の頬に頭を押し付ける。そうだよ、この香り。前よりちょっと髪、傷んだ?
彼女はひたすら何か言っているけれど、ボクにはわからない。でも、いいんだ。ちゃんと、わかるから。
その時、遠くで影が動くのが見えた──あの子だ。目がしっかり合ってしまった。なんだかバツの悪い思いがする。ここまで、探しに来てくれたんだ──。
しかし子どもは泣きそうな目でにこっと笑うと、そのまま走り去ってしまった。
──ごめんね。ありがとう。ボクは、その背中に呼びかけた。
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