第1章

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半年前、タクマさんが この店舗に異動して来る前まで 彼女と話すのは僕だった。 いつも蜂蜜ラテを頼む彼女に 蜂蜜ラテ?と聞くと 「ん~…言われちゃったから 違うのにする!」 口を軽く尖らせて メニューを見つめ悩む彼女は どこかしら楽しそうにしていた。 新商品のマグカップを見つめる彼女に 僕はこっちが好きです、と 赤いカップを取って言うと そっかぁ、と彼女は白いカップを取って じっと見つめてた。 …赤と白のペアのマグカップ。 結局彼女は買わなかったけど。 「今日は“ユウスケさん”のオススメで。」 誰から聞いたのか、 初めて僕の名前を呼んだ 彼女のいたずらっ子の様な笑顔。 じゃあ…蜂蜜ラテで、と からかうのが楽しかった。
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