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ジェラールの部屋。
ベッドに腰掛けるジェラールの足元でジェイムズが深々と土下座をしている。
「申し訳ございません!ジェラール様!酔っていたとはいえ、このジェイムズ!なんたる失態!」
「…良い。ジェイムズ。口から出てしまったものはもう仕方がない。」
ジェラールは少しあきれた顔で、取り乱すジェイムズを落ち着かせながら話す。
「こ…こうなれば、この場で腹をかっさばいて…」
「うわっ!やめろ!ジェイムズ!待て待て!おい!」
部屋の外ではベアとテレーズが事を案じて聞き耳を立てていた。
バタバタと騒がしい音が室
内から聞こえてくる。
「あ~あ、ジェイムズの奴。また騒いでやがるよ。ジェラール様も変わった部下を持って大変だな。」
「ジェイムズもあなたに言われたくはないでしょうけど…いつもの事よね。」
ベアとテレーズは室内の大体の様子を音で把握して、ジェラールの部屋の前の廊下で話している。
「まあ、またジェイムズが腹でも切るとか言って騒ぎだしたんだろ。」
「そんな所でしょうね。」
その時、部屋の中の物音が静まり、ドアノブが動く。
「おっ!出てくるぞ!隠れろテレーズ!」
ベアとテレーズはサッと廊下の陰に身を隠した。
すぐに部屋からジェイムズが出てくる。
ひどく暗い顔をして肩を落としたジェイムズは、フラフラとしながら自分の部屋に戻って行った。
「あれは重症ね…」
「ああ、まあいつもあんな感じだがな。よし!一丁元気付けてやるか!」
ベアは物陰から体を出すと大きく伸びをする。
「でもどうやって?」
「もちろん…酒だ!」
「あなた、まだ飲むつもりなの!?」
「…?最初からそのつもりだが…?」
テレーズは腰に手を当て、深くため息をついて呆れる。
ベアはそんなテレーズの様子などお構いなしに、宿の売店へとウキウキと歩いて行った。
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