第1章 新しき世界へ

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ジェラールの部屋。 ベッドに腰掛けるジェラールの足元でジェイムズが深々と土下座をしている。 「申し訳ございません!ジェラール様!酔っていたとはいえ、このジェイムズ!なんたる失態!」 「…良い。ジェイムズ。口から出てしまったものはもう仕方がない。」 ジェラールは少しあきれた顔で、取り乱すジェイムズを落ち着かせながら話す。 「こ…こうなれば、この場で腹をかっさばいて…」 「うわっ!やめろ!ジェイムズ!待て待て!おい!」 部屋の外ではベアとテレーズが事を案じて聞き耳を立てていた。 バタバタと騒がしい音が室 内から聞こえてくる。 「あ~あ、ジェイムズの奴。また騒いでやがるよ。ジェラール様も変わった部下を持って大変だな。」 「ジェイムズもあなたに言われたくはないでしょうけど…いつもの事よね。」 ベアとテレーズは室内の大体の様子を音で把握して、ジェラールの部屋の前の廊下で話している。 「まあ、またジェイムズが腹でも切るとか言って騒ぎだしたんだろ。」 「そんな所でしょうね。」 その時、部屋の中の物音が静まり、ドアノブが動く。 「おっ!出てくるぞ!隠れろテレーズ!」 ベアとテレーズはサッと廊下の陰に身を隠した。 すぐに部屋からジェイムズが出てくる。 ひどく暗い顔をして肩を落としたジェイムズは、フラフラとしながら自分の部屋に戻って行った。 「あれは重症ね…」 「ああ、まあいつもあんな感じだがな。よし!一丁元気付けてやるか!」 ベアは物陰から体を出すと大きく伸びをする。 「でもどうやって?」 「もちろん…酒だ!」 「あなた、まだ飲むつもりなの!?」 「…?最初からそのつもりだが…?」 テレーズは腰に手を当て、深くため息をついて呆れる。 ベアはそんなテレーズの様子などお構いなしに、宿の売店へとウキウキと歩いて行った。
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