第2章 ザ・ドラゴン

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翌日。 格闘家に接触するため、ジェラール達は朝早く宿を立つ事にした。 ベア達は、龍の穴への出立準備を整え、一足早く町の入り口にて待機している手筈になっている。 「いってらっしゃいませ。是非ともまた御贔屓に。」 朝早いにも関わらず見送ってくれたのはマーニャだった。 「ああ、世話になったな。」 マーニャはジェラールを少し寂しそうな目で見つめている。 彼女はジェラールに小走りで駆け寄ると外套をつかむ。 「ジェラールさん…また…会える…?」 不安そうな顔でマーニャはジェラールを見つめる。 「ああ、またこの町に来た時は必ず立ち寄ろう。」 マーニャはジェラールの言葉に納得しない。 未だ不安を湛えた表情でジェラールを見つめている。 しかし、やがて諦めたようにうつむいた。 「ジェラールさん。これ…」 マーニャがジェラールにそっと手渡したのは、小さなお守りだった。 「昨日の夜に作ったの。あの…良ければ持っていって。モンスターを倒しに行くんでしょう?」 お守りの形は少々いびつだったが、手作りらしく温かみの溢れるものだった。 「ありがとう。マーニャ。大切にするよ。これがあればモンスターなど恐れるに足らぬだろう。」 マーニャは優しく微笑んだ。 「…うれしい。」 元気な町娘マーニャ。 彼女が見せたその儚げな笑顔と健気な思いは、ジェラールにはとても尊いものに思えた。 「それではな、マーニャ。また会おう。」 「うん。いってらっしゃい。ジェラールさん!」 ジェラールがマーニャに背を向け歩き始めると、マーニャは彼の背中に向かって手を振った。 ジェラールが朝靄の町に紛れて見えなくなるまで、彼女は手を振り続けた。 「さあ、今日も1日がんばるぞ!」 マーニャは小さく拳を作り意気込むと、宿屋へと戻っていった。 今日もマーニャの元気な声が響き渡り、明るいニーベルの1日が始まる。
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