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「そのモンスターを倒すのに帝国も協力させてほしいのだ。聞けばあなた方はニーベルでは英雄であるという。我々としても住民がモンスターにおびえて暮らすのは看過できぬのだ。しかし我々が兵団を差し向けてモンスターを掃討してしまってはあなた方の信頼に関わる。」
カールは腕を組み、少し悩んでいる様子で話す。
「そうですか…ニーベルの住民もその事で頭を悩ませていると聞いています。彼らは我々を立てるため帝国への協力要請を渋っているのです。自身が危険にさらされているにも関わらず、その気遣い。いくら町を守ってきた我々のためとはいえ、そうそうできる事ではありますまい。私はそれが嬉しいのです。しかし、そのために住民には要らぬ心労をかけてしまっているのも事実。なんとかモンスターを倒したい。」
ニーベルと龍の穴はお互いを思い合う程の深い信頼関係にあるようだった。
「モンスターの巣には、スライムのようなブヨブヨした奴がいて、我々の体術が効かんのです。術が使えれば良いのですが我々は格闘家。そうもいきません。」
カールは腕を組んだまま深くため息をつく。
「分かった。協力しよう。私は何をすればいい?あなた方の信頼を壊すような事は、アバロン帝国の名に誓ってしないと約束する。」
カールは組んでいた腕をほどき、膝の上に手のひらを乗せるとジェラールに頭を下げた。
「ありがとうございます。それでは2階にいるブヨブヨした奴を倒していただきたい!モンスターのボスは我々が倒します。」
それなら速やかにモンスター討伐を行う事ができ、格闘家のメンツも保てるだろう。
「我々格闘家も同行いたします。陛下がモンスターを倒したら我々がボスへと進撃し、一網打尽にしてご覧にいれましょう。」
カールはイスから立ち上がると拳を強く握った。
「話はついたな。それでは我々アバロン帝国が先行し、モンスターを叩く。ボスは任せたぞ、カール殿。」
ジェラールとカールはしっかりと握手を交わした。
「ありがとうございます。お前たち!モンスター討伐に出るぞ!私に付いてこい。」
カールが声をあげると数人の弟子達が彼の元へと集まった。
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