第2章 ザ・ドラゴン

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ゼラチナスマターはベアに内臓を揺らされ器官を狂わされたのか、時々嘔吐するように体液を吐き出している。 脳を持たない軟体生物であるため、それでも体を帯電させ、ジェラールに電撃を放とうとしている。 「させないわ!イド・ブレイク!」 テレーズは衝撃波を纏った矢を放つ。 矢はゼラチナスマターのすぐ脇をかすめ、その衝撃波がゼラチナスマターを襲う。 「オオオォォォ!!」 またも内臓にダメージを受けて苦しむゼラチナスマター。 体の下部から体液を嘔吐する。 ジェラールは電撃を妨害され動きが鈍ったのを確認すると、燃える剣を突き立てゼラチナスマターへと跳躍した。 「はぁ!くらえ!」 跳躍からの突き下ろしに、剣がゼラチナスマターの皮膚を突き破り、内部に到達する。 「ファイアボール!」 ジェラールはゼラチナスマターの体内に到達した剣先から、それに蓄えられた炎を解き放った。 「ピギィィィァァ!!」 行き場をなくした炎は、その体内で荒れ狂い、内臓を焼き、破壊していく。 やがて耐えきれなくなったゼラチナスマターの体がボコボコと膨らみながら変形を起こした。 「オ…ゴポッ…グボォ!」 「みんな!逃げろ!爆発するぞ!」 ジェラールの一声に一同は洞窟の岩陰へと身を隠した。 「ひぃぃぃ!気持ち悪いー!」 テレーズが顔を真っ青にして床にへたり込んでいる。 「テレーズ!何をしてる!こっちだ!早く!」 「こ…腰が…抜けて…!」 ジェラールが手を伸ばすがもう間に合わない。 「ああああああー!!」 恐怖におののき、悲鳴をあげるテレーズの目の前で、限界を迎えたゼラチナスマターの体が崩壊し破裂した。 ビシャァァァ!! 破裂の衝撃で辺りに大量の粘液を撒き散らしながらゼラチナスマターは消滅する。 目の前で破裂されたテレーズは大量の粘液を全身に浴びてしまった。 ジェラールが急いでテレーズに駆け寄る。 「テレーズ!大丈…」 テレーズは白目を剥いて気絶していた。 あれほど気持ち悪がっていたモンスターの粘液を浴びたのだ。 余程気持ち悪かったのだろう。その表情が何より語っていた。
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