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「ともあれ、陛下のおかげでモンスターの巣は制圧できました。早速ニーベルの町に知らせましょう。一刻も早く住民の心に平穏を取り戻したい。」
カールは話を戻し、ニーベルの町へ向かうため洞窟の入口方面へと歩き出した。
「そうだな。まずはそれが先決だ。」
ジェラールも後に続く。
モンスターが倒された事を知ればマーニャも喜んでくれるだろうか。
ジェラールの脳裏には知らせを聞いて明るく笑うマーニャの顔が浮かんでいた。
-ニーベル-
「格闘家がモンスターの巣を壊滅させたぞ!」
「やっぱり格闘家は無敵だ!ザ・ドラゴン万歳!」
「帝国も協力してくれたみたいだぞ!」
「格闘家に帝国じゃ怖いもの無しだな!」
「ザ・ドラゴン万歳!皇帝陛下万歳!」
ジェラールとカールがニーベルに凱旋し、町に知らせが行き渡ると町民達はその話題で持ちきりになった。
誰もが口々にジェラールとカールを讃えている。
カールがボスモンスターを討伐した事で格闘家のメンツは保たれ、それに付随する形で協力した帝国の株も大きく上がったようだ。
「ジェラールさん!」
「マーニャ!」
町民に囲まれるジェラールの元に、その合間を縫うようにしてマーニャが駆けてきた。
「良かった!また会えた。」
マーニャなニッコリと笑う。元気な笑顔。ジェラールはそれを見てとても優しい気持ちになる。
「ジェラールさん、ケガはない?今夜はうちの宿に泊まって行ってね!うんとご馳走作るんだから!」
「ああ、大丈夫だよ。おお!それはありがたい。このままアバロンに帰るには野営をしなくてはならないのでな。またお前の宿を訪ねようと思っていたのだ。」
マーニャは嬉しそうに体を揺らして跳ねる。
「やった!じゃあ私、早速準備しておくね!」
そういうとマーニャは手を振りながら宿に戻っていった。
「おや?陛下も隅に置けませんなぁ?」
カールは腰に手を当て、ジェラールを覗き込むようにどこかで聞いたセリフを口にする。
「ははは、カール。彼女は私の友人だよ。皇帝という立場を抜きにして対等に付き合える、初の、大切な友人だ。」
「そうですか。それは結構。」
カールは腕を組み、大きく頷く。仮面で表情は見えないが、その下でカールは穏やかに微笑んでいた。
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