第2章 ザ・ドラゴン

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「ジェラールさん、いらっしゃい!それにみなさんも!」 ジェラールは町民に囲まれたカールと別れ、マーニャの宿に来ていた。 支度を整えて迎えてくれたのはやはりマーニャだった。 「急ですまないな。すまないついでで申し訳ないが、テレーズに湯を使わせてやってくれないか?モンスターの粘液で大変な有り様なんだ。」 テレーズがジェラールの後ろですすり泣いている。 「お風呂の準備もできてるわ!じゃあテレーズさん、こっち!」 テレーズは小さくうなずき、フラフラとしながらマーニャの後をついていった。 「あーあ、あれじゃオバケじゃねぇか。俺のマントも台無しにしてくれやがって。」 ヘクターがボヤくとベアがすぐに止めに入る。 「バカ!ヘクター!聞こえたらどうすんだよ!後でひどいぞ!」 アンドロマケーで懲りているヘクターはギクリとして両手で口をふさぐ。 「さあ、我々は部屋に行こうか。ベアはまず焦げた鎧を磨いてもらえ。ヘクターはマントを洗ってもらわないとな。」 そう言うとジェラールは案内された部屋へと歩き出した。 「ジェラール様。今回の件、帝国への伝令はいかがいたしますか?お急ぎなら私が帝国まで戻り伝えますが。」 「そう急ぐ事もあるまい、ジェイムズ。明日カールの所へ運河要塞の情報をもらいに行こうと思っている。その間に、足の早いヘクターとテレーズを伝令に遣わそうと思っているよ。」 「もうお考えでしたか。さすがは陛下。それでは私は自室で待機しておりますので、何かありましたらお声掛けください。」 ジェイムズは一礼するとそのまま自室へと歩いていった。 部屋に入ったジェラールは、身軽になろうと鎧や武器を外し、部屋着に着替えようと備え付けのクローゼットに手を伸ばす。 するとジェラールの胸元から何かがこぼれ落ちた。 「ん?なんだ?」 ジェラールが落ちたそれを拾い上げると、それはマーニャが出掛けに渡してくれたお守りだった。 一部が焼け焦げ、中身が見えている。 中には七色に輝く不思議な石が入っていた。 「しまったな。あの電撃で焦げてしまったか。マーニャに謝らなくてはならんな。しかし綺麗な石だ。」 帝国の宝物庫ですら見たことの無い不思議な輝きを放っている。 それは宝石のそれとも違う、自ら発光するかのような色をしていた。
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