7人が本棚に入れています
本棚に追加
「びっくりさせてすまなかったな。マーニャ。」
マーニャは目を丸くしたままポカンとしている。
しかし、しばらくすると我に帰りぷくっとふくれた。
「もう…せっかくの雰囲気が台無し…」
不機嫌そうな顔を赤くして下を向いている。
しかし、次の瞬間マーニャはクスリと笑う。
「くすっ…あはは!もう、びっくりしたぁ!」
ジェラールもつられて笑う
「はっはっは!間抜けな家臣ですまんな!」
ひと笑い終えたジェラールとマーニャの傍らを、澄んだ夜風が爽やかに吹き抜けた。
「マーニャ。」
「なに?」
「お互いまだ会ったばかり。語り尽くせぬ事も多いだろう。私も君も、お互いを知り合うにはまだまだ道のりは長い。その…しばらく時間をくれないか?その間にたくさん同じ時間を過ごしていこう。そしていつか君を本当に理解できたら、その時は…これではダメか?」
マーニャはニコリと笑う。ジェラールが好きな、あの笑顔。
「ううん…嬉しい。いつか私にもジェラールさんの事教えてね。私もアバロンまで会いに行く。だからジェラールさんも…その…会いに…来てね…?」
マーニャは顔を赤くして、上目遣いにジェラールに視線を送った。
「ああ、約束だ。」
マーニャはその言葉に納得するかのようにニッコリと笑うと、大きく息を吸い込んだ。
「さて!ジェイムズさんをなんとかしないと!」
マーニャはスッと立ち上がると、大股で歩き出し、ジェラールの横を通り過ぎていった。
「ベアさーん!ジェイムズさーん!大丈夫ですかー!」
ジェラールは宿の中に戻っていくマーニャの後ろ姿を見つめ、心の中で呟いた。
「マーニャ、ありがとう。いつかきっと…君を迎えに行くよ。」
最初のコメントを投稿しよう!