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「龍の穴の格闘家は無敵よ!」
町娘は嬉々として話す。
「この町は龍の穴の格闘家が守ってくれてるの。どんなモンスターが来てもあっと言う間にやっつけちゃうんだから!」
手で拳を作りながら少し興奮ぎみに話すその様子から、その格闘家がこの地域でまるで英雄のような扱いを受けているのが分かる。
「ホラ!あそこ、見て。」
町娘が指差す方を見ると、なにやら立て札がある。
この村、荒らすべからず。
龍の穴
「もし私達に何かあれば、すぐ格闘家がとんでくるわ!悪いやつはギッタギタなんだから!」
町娘のテンションが異様に高い。
この町での格闘家は余程の人気を得ているのだろう。
帝国が入り込む必要もないかもしれない。
統治されていない地域は、それはそれで有事の際の防衛手段を持っているものなのだ。
「そうか。この町には立派な英雄がいるのだな。呼び止めてすまなかった。では私はこれで…」
「ねえ、旅人さん?」
町娘は立ち去ろうとするジェラールに駆け寄り、腕を組むとぴったりとくっついてきた。
「私とデートしない?」
「なん…だと…?」
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