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早めに酒場に着いたベア、ジェイムズ、ヘクターはテーブルについて、ジェラール、テレーズの到着を待っていた。
ベアは先に酒を飲み始めている。
そこに険しい顔をした男が1人、ジェイムズだ。
ベアが楽しそうに飲み、ヘクターがいつ酒を飲まされるかビクビクしている脇で、眉間にしわを寄せている。
「ジェラール様が…来ない…」
「おい、ジェイムズ。どうした?怖い顔して?」
ベアはだいぶ飲んでいるようだ。
隣で怖い顔をされては酒が不味くなると、ジェイムズをなだめにきたのだ。
「大丈夫だって!そのうち来るさ!テレーズももうじき宿を探し終えて合流する頃だ。」
しかし、ジェイムズの顔色は優れない。
「こうしてはおれん!私は表で待つ!」
ジェイムズは席を立つと、足早に店の外へと出ていった。
「おい!ジェイムズ?ジェイムズ!…まったくしょうがねぇ奴だ…。」
呼び止めようと一度席から立ったベアだったが、ジェイムズが店を出ていくと諦めたように再びドカッとイスに座り直した。
「ほっとけよベア。ジェラール様がくれば戻ってくるだろ。」
「そうだな。飲み直すか。ところで…ヘクター。飲めるようになったか?」
ベアはニヤリとしてターゲットをヘクターに移した。
ギクリとするヘクター。
「おい!やめろ!酔っ払い!俺は酒は飲めな…」
酒場にはベアに捕まったヘクターの悲鳴が響いていた。
「ふう…やっと解放された…」
黄昏迫る夕暮れ時、ジェラールはようやく町娘から解放され、ベア達の待つ町の酒場へと急いでいた。
「ずいぶんと遅くなってしまったな。急がなくては。しかし、先程の商店でいただいたロールケーキ…なかなか旨かった。」
酒場の前まで来ると、入り口付近で落ち着かない様子でウロウロするジェイムズの姿が見えた。
「おーい、ジェイムズ。遅くなってすまな…」
「ジェラール様!」
ジェイムズはジェラールを見付けるとすぐに駆け寄ってきた。
「あまりに遅いので何かあったのかと心配しておりました!ささ、どうぞ中へ。ベアとヘクターもおります。」
ジェイムズに案内され店内に入ると、そこには酒瓶に囲まれたご満悦のベアと、力なくテーブルに倒れ付したヘクターの姿があった。
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