コーヒーと煙草、時々、煙。

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毎朝起きるとキッチンからコーヒーの良い香りが漂う。 ベッドから起き部屋から出ると、「おはよう」と声を掛けられ、ぶっきらぼうの俺は「あぁ……」と返すだけ。 毎朝、玄関に突っ込まれている郵便受けにある新聞を手に取る。 春に近いのにまだ冬のような寒さでぶるりと身体を震わせる。 暖の通らないこの寒い廊下には、いくつになっても絶対に慣れる事は無いだろうと思う。 暖が通っているリビングがとても恋しい。文明の器具様さまとはこう言う事をいうのだろうと思う。 暖かいリビングにすぐに戻り、ソファーに座るや否や先程取ってきた新聞紙をバサッと広げる。 新聞紙を見ながら、片手で寝室から持ってきた煙草を箱から一つ取りだし口にくわえ、もう片方の手でライターをカチカチッと鳴らす。 残り少ないライターのオイルのせいなのか、中々火がつかない。 少し苦戦しながらも、その数秒後にはやっと火着く。 あと数回使ったらこのライターともおさらばするかなと思いながら、くわえていた煙草に着け思いっきり息を吸う。 この瞬間が今の俺の唯一の至福の時だ。 プハーと口を開ければ、出てくるのは今吸ったばかりの煙草の煙。 『あ、輪っかが出来た』なんてボンヤリ考える暇も出来た。
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