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「どうしたの?」
小さく首を傾げる彼女に、
「ごめん……」
と、やっと絞り出した声は震えていた。
「え……?」
「ごめん…ごめん……。ごめんなさい……」
いい年をしてと思っていても、涙を流しながら彼女に土下座をし謝罪をする。
「ごめんなさい……ごめんなさいっ!!」
彼女は何も言わない。
ただ、俺の目の前に立っているだけ。
彼女がどんな顔をしているのかさえ、今の俺は分からないのだ。
玄関から聞こえる扉の開く音と複数の足音。
もう、逃げられないと分かった。
顔をあげると、目の前にいたハズの彼女は居なくなっていた。
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