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真っ暗な世界から目を開けると、そこは見知らぬ部屋。
私は……生きているのか?と思ったが、部屋の主が帰ってくるや否や青ざめた顔。
正直、私も驚いてしまったのだが、相手は私よりも驚きを隠せなかったようだ。
「な、なんで……?どうしてここに……っ!!?確かに、お、俺は……っ」
ガタガタと震える男が腰を抜かした瞬間についたテレビ。
そこから流れたのはニュースで、女性アナウンサーが発した言葉は私の名前。
襲われた場所云々が色々と流れてくる訳で……
あぁ……やっぱり私は死んだのだと、気付かされた瞬間でもあった。
「で、でていけ!でていってくれっ!」
男は腰を抜かしながらも「出ていけ!」と叫ぶ。
おいおい、この男。身勝手に私を殺しておきながら出ていけコール連発って、ふざけてんですかコノヤローって思った。
いや、生きてたら不法侵入であれですけど、私、死んじゃってる訳で……。
現在の職業何ですか?って聞かれたらバリバリの現役幽霊ってやつですよ?
……だけど、私にはもう、何も出来ない。
しかし、何も出来ない私の目の前には不本意ながらも、私を殺した男の傍にいる。
私は、この男を絶対に許す訳にはいかない。
コイツが捕まるまで離れてはやらないし、ましてや、罪も償わず勝手に死なれては元も子もない。
見張りと言う名の呪縛霊(ストーカー)と言われたって構わない。
だから、私は消えない。
私から……奪った……
この男を、逃がさない為にも────
生きて、罪を償いなさい。
特に私は何かをするわけでもないと言ったのだが、それでも騒ぎ続けるこの男を黙らせる為に「それ以外騒ぐとお望み通り本当に呪うぞ」と、軽く脅したのは言うまでもない。
そして、私とこの男との奇妙な同居生活の始まった。
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