腐敗が止まらない…

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前にも言ったとおり、この学園ってスポーツ特待制度とか奨学金制度とか留学とかの、制度がきっちりしてるから才能があるヤツがこぞってここに来る。この学園のネームバリューみたいなのもあるし、学生生活をしているうちにコネとかを作ろうとする野心家も結構いるから、うちの学園の運動部や文化部の成績はマジでいい。 俺が入部しようと思っているバレー部は、地区大会や市内大会では優勝するが、県内だとベスト16以内とかそんなの。誰でも聞いたら名前ぐらいは知っているぐらいの強さを誇っている部活だ。 まぁ、この学園の中ではパッとしない成績だろう。 確かバレー部は第二体育館で練習をしていると言っていたような。向かっていると体育館の外からでも聞こえてくる、掛け声や呼ぶ声。やってるなー、とか思っていると 「君、もしかしてバレー部の見学に来たのかな?」 後ろから低く男らしい声で尋ねられて、この人イイ声してんなと思いながら振り返ってみると、パッと見がゴリラみたいな人が立っていた。いや、先輩だと思うこの人に失礼かと思いながら、めっちゃゴリラっぽいとまた思う。ゴリラだ、穏やかそうなゴリラがいる。 各パーツがはっきりと主張されて、暑苦しさや荒々しさを演出している。それにまるでゴリラのように発達した胸筋がジャージを着ていても分かる。 凄げぇぞ、この人。胸筋でジャージが上まで閉まってない、誰得だ、これ。これが俗に言う、雄っぱいか。 しかし、その外見とは裏腹に穏やかに柔らかく、低く優しい声で尋ねてきて、あっ、この人は優しいゴリラさんだと安心した。ごめんゴリラさん、ゴリラとおもって。心の中で、静かに謝罪した。
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