南米

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「何時頃寝たのか解らなかった」  私は鈍い頭を振り、枕元にある剣と盾を持ち、長老のテントから外へ出た。霧画は朝だと言うのに白い城の反動で果実酒を飲みに行ったようだ。  村の中央には蒼穹の戦士が約百名、そして、角田と渡部が武器を携え集まりだした。  安浦と村の女たちは炊き出しをしてくれるようだ。  そこは、やや大きく人が10人くらいは入れる大きさだ。中央の食べ物が置いてある木製のテーブルはテントからはみ出している。安浦が寝泊まりした場所でもある。その奥の食料は目に見えて、十分ではなかった。何日も貯蔵された果物と猛獣の肉のむわっとする匂いがし、漂い、よく安浦はこの中で眠れるなと思った。  安浦に挨拶をしにいくと、 「ご主人様のは特別です」  安浦は他の人たちには、猛獣の肉を拳大3個なのに、私のだけは多種多様の果物を挟んだ猛獣の肉サンドを3個だった。 「ありがとう。大事に食べるよ」  私は肉サンドをズボンのポケットに丁寧に入れ、渡部と角田に挨拶に行く。  二人は武器を真剣な顔で軽く振り合っていた。これからの戦いで心が昂ぶっているのだろう。 「赤羽さん。今度は死ぬかも知れないんですよね。俺は今までの人生でこんな体験をしなくていい道を、必死に目指していればよかったです。でも、村の人たちや世界の人たちのためにもなるんですし、何より自分の悪夢が無くなる……やらなきゃなって……」  渡部は極度の緊張と恐怖で、震えを必死に抑えていた。 「俺もこうなったら仕事よりも頑張るさ。生きて帰れるか解らないけど……赤羽くん。頼むからみんなの命をその不思議な力で守ってやってくれ……。それと……独身生活を……卒業したかった……」  角田はさすがに嫌と言うほど真っ青だ。その緊張と恐怖をすぐに解けるはずはなく。  私は、二人を元気づける。 「二人とも、これは夢さ。ディオや呉林姉妹は死ぬと駄目だと言っているけど、そんなことはないかも知れない。きっと、死んだら布団の中で目を覚ますだけさ。勇気を無理にでもだして、これからの戦いを精一杯頑張れば、明日からはまた元の生活さ。みんなで酒をたくさん飲もうよ。勿論、俺の奢りで……」  私は二人に向かい。これまで一度も出来なかった純粋な優しさを含んだ笑顔を向けた。それが今、出来る。精一杯の二人への応援だった。
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