第1章

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「やっとだよ」 彼女が口を尖らせて文句を言う。 卒業式が終わり、春の日差しが 夕暮れの化粧を始める。 ほんのりと紅く染まる頬は、 もう少女の色ではないようで、 少しドキッとした。 「3年なんてすぐだろ?」 そう聞いてみた。 「1日はすぐでも、1ヶ月は長いの。 1ヶ月がすぐでも、1年は長いの。 3年はすぐじゃなかったよ」 確かにそうだ。 1つずつ思い出をたどれば、たくさんありすぎて すぐではなかったのかもしれない。
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