俺の親友の話をしよう

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  件の男は坂田仁志という。  初めて出会ったのはたぶん幼稚園の年長さんのときだ。  なぜ“たぶん”かと言うと、俺はもっと前から知っていたからで。  幼なじみのマキちゃんが「ヒトシくん可愛い。大好き」と毎日毎日ずっと浮かされたようにつぶやいていたからで。  俺の物心がついたのは、確かそのつぶやきにうんざりした瞬間だ。  マキちゃんはきょうだいみたいなもので、別に特別な存在とかそういうんじゃなくて、でもなんか知らないやつに彼女をとられた気がして、いやーな気分になった。  だからとりあえず「ヒトシくん」の顔を見に、となりのさくら組を覗きに行くよね。  マキちゃんの「ヒトシくん」はひょろっと小さいやつで、髪の毛とかさらさらで、いっこいっこのパーツが丁寧なつくりというか、なんか女みたいな顔をしている。 「ヒトシくん」はたくさんの子に囲まれていて、人気者らしい。 .
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