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その頃にはマキちゃんは「ヒトシくん」から「ヒロユキくん」にシフトチェンジしていて、女の子って変な生き物だなぁと感じたものだ。
そんな仁志に、俺にしかわからない変化が訪れたのは──小2の冬休み、大みそかの昼のことだった。
「俺、早く家を出たいな。斉木、なんかいい考えない?」
仁志が俺に相談事をするなんて初めてだ。
親友を自称したい俺としては、またとないチャンス。
これは答えてやらなくては。
「俺んちに来いよ!」
「え」
「俺んちだったら、大丈夫だよ。母ちゃんは仁志のこと大好きだし、寝るところも俺の布団譲るし、父ちゃんと足相撲だってできるぞ!」
仁志が「なに言ってんだこいつ」という顔をした瞬間、悟った。
俺は答えを間違えたらしい。
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