俺の親友の話をしよう

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  「そういうことじゃないんだよ。……はあ、もういいや」  力なく笑った仁志の顔を、俺はしばらく忘れることができなかった。  今ならわかる。  自分の両親が本当の親じゃないって、知っちゃったんだよな。  ひとりで、悩んでたんだよな。  このまま平和に暮らしてていいのかな、って。  悔やんだって、たった8歳の子どもだ。  俺にできることなんてなにもなかったけど、ことの深刻さがわからなくて、本当に悪かったと思ってる。  仁志はただ、欠片でもいいからなにかわかって欲しかっただけだったんだ。  それから、仁志は考えていることをほとんど話さなくなった。  ただ、より賢く慎重に、寡黙に──そして優しくなった。  仁志が人に愛想よく笑顔を向けるのは、それ以上自分の事情に立ち入らせないようにする処世術みたいなもんだ。 .
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