俺の親友の話をしよう

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   その日から俺は、仁志のことを「坂田」と呼ぶようになった。 「坂田」と呼んだ瞬間仁志は変な顔をしたが、特に言い咎めることもなくそれさえも受け入れたようで──自分で勝手に線を引いたくせに、寂しくなった。  やがてやつの登校拒否も、おさまった。  だが更ににこやかに愛想のよくなった仁志の笑顔が、俺は好きじゃない。  あれは、嘘だ。  本当に楽しいときの仁志の笑顔を、俺は知っている。  もう何年も見ていないけれど。 .
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