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待って…
どんどん先に行く三汰の姿が小さくなる
待ってよ
置いていかないで
「待って!!」
「!!?」
カタカタと奥歯が震える
三汰は振り返り俺の目の前まで戻って来た
「ご、ごめんね!俺くりりんとお散歩楽しくて」
困ったような不安なような表情で俺を見上げる
「お、俺こそ…ごめん…」
「くりりん…大丈夫??」
1度頷いて見せたが多分…大丈夫そうには見えなかったらしい
三汰はギュッと腕を掴んだ
「怖くないよ??一緒だよ?」
「うん……」
ざわざわと森が鳴いている
寒いくらいに感じる森の中
空を仰ぐと彼方でトンビが旋回していた
「俺…誰かを守る事…出来ないから…せめて大切な誰は側に置きたいんだ」
「くりりん??」
「中学の時……親友がいじめられてる所を見たんだ…俺は止めに入った……」
「……」
俺の腕を掴む三汰の手にチカラが入り少しずつ冷えていった…
「だけど違った……本当は俺がウザくて罠に掛けた…俺はその時この右目を失った……それと…守る事の意味を……」
親友だと思っていた…
ずっと笑い合っていた…
だけど…それは…俺だけだった…
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