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僕らの住む街には、まことしやかに噂される話がある。
この街の守り神は猫であり、満月の夜には黒く小さな猫が街を駆けて、新月の夜には白く大きな猫が街を駆け巡り、この街の人々を見守っているという。
そんな噂がささやかれはじめたのは、昭和の時代だって、お父さんは言っていた。
会った人は、いっぱいにいるのだよ。
そういう風にお父さんは僕に教えてくれた。
でも、僕がその猫に会いたいって言うとお父さんは困った顔をする。
「いい子にしていれば、きっと神猫は会いに来るよ……」
僕は、そう言われるたびに、ぷうっと頬を膨らませた。
「僕は悪い子じゃないもん!」
そんな風に僕は、お父さんに逆らったんだ……。
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