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そんなことは、僕が本当に、本当に小ちゃい頃の話だ。
もうすぐ、僕が産まれてから十回目の春が来る。
だけど、僕はもうすぐ、お父さんとお別れしなきゃならないんだ……。
『リコン』
お父さんとお母さんは、そう僕に教えてくれた。
理由なんて教えてくれないけど、春になったらお父さんは遠くに行ってしまう……。
お父さんは、リコンの話を僕にしてから、毎日一緒にお風呂に入ってくれる。
そのときに僕に目を細めて、言うんだ。
「せめて、もう一回、お前と花見をしたかったなぁ……」
僕は小ちゃい頃と同じく、頬をぷうっと膨らませて、
「だったら、お父さんとお母さん、リコンしなけりゃいいじゃん!」
と叫ぶんだ。
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