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「魔法適正 有リ」
「えっ」
中学校の卒業式を終えて義務化された魔法適正テストを受けた。
この魔法適正テスト。これに引っかかったものは『魔法』と呼ばれる力を行使できるということであり、強いては『魔法使い』とよばれる存在であるということだ。
(いや、まさか)
念の為にもう一度機会に触れようとした時、空間に裂け目が出来た。
『魔法使い』になったものには『魔法学園』と呼ばれるものに通う必要がある。そのための使者が来たのだ。
「まじですか」
「うむ、まじじゃ」
魔法使いへの期待と不信を込めてその言葉をポツリ呟いた独り言に裂け目から返事が返ってくる。
その声は少女のような高い声、しかし言葉遣いは歳を召したような喋り方だった。
声と同時に裂け目から足袋と下駄を履いた片足が出てくる。地面足が付き、下駄特有の軽い音がなる。
そして出てきたのは、和装を着た銀髪の少女。150cm前半、中学生と言っても通じそうな身長。
しかしその身に纏う雰囲気は子供ではなく、かなりの経験を持った聡明な雰囲気が漂ってくる。
ーー? なんだろうか彼女を知っているような気が……。
「どうした?ぼーっとこちらを見て、もしかして……惚れたか?」
「とりあえずそういう事でいいんじゃ無いですかね」
まぁ、テレビでも魔法使い代表としてよく出ているしそんな気がしてもおかしくは無いだろう。
謎の既知感にそう答えをつけそう返事する。
実際、特殊な性癖の持ち主でなくても彼女の容姿を悪く言うような男はいないとだろうと思う。それほどまでに彼女の容姿は優れているのだ。
その答えは予想外じゃのう……、小さな声で呟いた彼女はコホン、と咳払いで仕切り直し改めて口を開いた。
「おめでとう!君は今日から魔法使いじゃ!」
そう何処と無く嬉しそうな顔で言い放ったのだった。
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