僕と彼女の親子の時間

「っつ―――」

一時間もたたないうちに僕は心の中の何かが折れる音を聞いた気がした

前提として、さしずめ僕はライオン、彼女はウサギで、

彼女は一緒の檻に入れられているような気持ちなのかもしれない。

先ほどの気合いはどこへやら、僕は気を遣いすぎて疲れ果て、

畳にへばりついて、スマホで「子供との付き合い方」と検索した。

0～6才の子供は親の愛情をたっぷり与えて自信をつけさせるべし。と書いてある。

愛情ねぇ。姉さんはちゃんと与えられていたのかね。

トラウマを持っているこの子にどう愛情を与えたらいいんだろ。

とにかく、僕はあのＤＶクソ野郎とは違う所を見せるしかない。

僕はとにかく道化にでもなるつもりで、

子どもの好きそうなことをして、

子どもが好きそうな料理を作り、

彼女の言いたいことや目の動きをちゃんと聞いたり見たりして、

ささいなことでも褒めることにした。