僕と彼女の親子の時間

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「おじちゃん」 声が聞こえ、閉じかけたドアをもう一度開けた。 やはりそこには誰もいないように見えたが、 視線を落とすとリックサックを背負った見知らぬ少女がいた。 小学生になる手前くらいの年齢だろうか。 彼女はくりくりした目を少し潤ませながら、僕を見ていた。 「あ~おじちゃんじゃなくてお兄さんな。 部屋でも間違えたのか?」 ついこの前まで高校生だった僕がおじさん呼ばわりされたことに少し傷ついた。 僕の小さな脳をフル回転させて、近所に住む子供たちの顔を思い出そうとする。 けれども、眼前の少女の顔はその誰とも一致しなかった。
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