僕と彼女の親子の時間

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「お前の名前は?」 「あんどう、さくや」 緊張していたのか、それとも僕が怖かったのか、 彼女は僕と同じ苗字と下の名前を震えた声で言った。 背負っていたリュックサックを下に置き、 ゴソゴソとその中をまさぐって、出した手紙を僕に差し出す。 「咲耶(さくや)ってまさか」 悪い予感がした。 さっきの“おじちゃん”はもしかしたら間違いではないのかもしれない。 こんな子供から受け取る手紙を、 僕は心の底から恐れていた。
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