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どうしよう。
背中に変な汗が噴き出している。
不良をしている時から、女と子供は苦手だった。
そのため、彼女もいない。
それゆえ、ダブルの苦手要素を相手に上手に立ち回る自信が全くない。
不良間の抗争に負け、5人くらいに袋叩きされても泣かなかった漢の僕が、
気づけばうっすらと涙を浮かべながら姉に電話していた。
「美咲姉さんっ、どういうことだよ?」
「どうもこうも、手紙に書いてあったでしょう?」
僕は携帯を震わせながら電話しているのに、電話先の姉の声は穏やかだった。
「服や、健康保険証とかはリュックサックに入っているから。
今はフィアンセと一緒にいるから、またわからないことがあったら電話してちょうだい」
「いやいやいや、ちょっと待って」
すぐさま電話を切ろうとした姉に、僕は動揺しながらタイムをかける。
「今度の人本当に大丈夫なのか?母性が倍増って何なの?
子供置いて妻になるために度量を計る?何それ今は平成だろ?」
僕は矢継ぎ早に、手紙を読んで不安に思っていた質問を投げかける。
「前に奥さんの性格で離婚したから、今度はちゃんと見極めたいんですって。本当にいい人なのよ」
一度失敗している姉の言葉には説得力がなかったが、
彼女のフィアンセとやらについてとやかく言うことは諦めることにした。
「と、とにかく、同棲とか旅行とか行くなってワケじゃないけど、
子供を置いて行くなんて可哀想だ。
咲耶がここにいるってことはまだ近くにいるんだろ?」
「この小さな女の子に一生パパがいないことの方が可哀想なのかもしれないわよ?
それじゃあ、私は空港に向かうから―――
あまり手はかからないとは思うけれど、しばらく娘をよろしくね」
「―――あっ、切りやがった」
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