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だが何故、それが私だったのだろうか?
それがどうしても分からなかった。
故に私は、老人へと問い返す。
「どうして、そんな事を言われるのですか――??」
私の言葉を受け、老人はプルプルと身を震わせながら突然、私に鋭い眼光を向けた。
「何故かだと?
ワシは今、とてもイライラしている。
アンタの恥知らずな行いでな――。」
(なっ!?
何だと........??
私の行いで、この御老人はムラムラしてしてしまったと言うのか!??)
だが何故――?
いや、それは悩む意味などあるまい。
性癖は千差万別。
人により、グッとくるものが違うのだから、考えるだけ無駄だろう。
しかし、それでも1つ明確なのは私の行為が、老人を欲情させてしまったと言う事実だ。
私は余りのショックに、黙り込む。
だが老人は、そんな私の気持ちなど素知らぬ顔で追い打ちを開始した。
「反省する気がないなら、行く所まで行ってもいいのだぞ?」
(なっ........イクところまで、イクだと....!!?
それは、まさか――!??)
私は、その言葉が信じられず老人の顔を見据える。
だが、眼光は鬼の如きもの....。
殺意すら感じる。
つまり、本気と言う事だ。
(くっ.......!
確かに童貞でこそないが、私の後ろは処女だ....。
いや、それはともあれ一人の紳士として後ろの貞操だけは死守せねばならない。
これだけは、失ってはならないんだ――!)
だが、どうやって守る――?
そんな疑問が私の脳裏を過った。
いや、手は1つだけ残されている。
恐らく、老人は性欲を解消したいだけだ。
何より老人には、御孫さんがいるようである。
つまり、この老人は決して同性愛者ではないと言う事だ――。
そうでなければ、子供など作れよう筈もない。
孫がいるなら、子供もいる筈なのだから....。
確かに、養子の子供と言う可能性もあるにはあるが、何となく目元がこの老人と似ている事を考えると、十中八九血縁者に違いあるまい。
つまり――だ。
そんな人物が何かの手違いで、私の探求行為に欲情してしまったのだろう。
ならば、この老人は普通に女性を欲求の対象として見れる筈。
そして、私のその予想が正しければ、私の懐に秘蔵されし希少なるチケットこそが最大にして最強の切り札となるだろう。
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