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だが........。
それは約二年もの年月を有して、手に入れた希少なるモノ。
本来なら来月に訪れる私の誕生日に、頑張っている自分自身への御褒美として、大切に秘蔵していた取っておきの逸品だ。
しかし、それでも私の後ろの処女の価値には、遠く及ぶまい。
そう、このチケットは頑張ればまた手に出来る日はくるが、私の後ろの処女は失ったらもう二度と戻ってこないのだから。
なればこそ私に、選択肢はなかったのである。
(....御別れだね私のアイリちゃん....。)
――――――
「御老人、これを――。」
不意に、目の前の若造は懐に手を突っ込むと、ワシの目の前で無造作に財布を取り出す。
(なんじゃ....!?
まさか金で解決する気か??
ワシを嘗めるなよ若造――!)
――などと最初は思ったものの、ヤツが財布から取り出したのは意外にも、丈夫そうな紙のチケットだった。
白金色のインクで、デザインされた派手なチケット....。
(何のつもりだ....??)
ワシは取り敢えず、若造から渡されたチケットを手に取った。
そして――。
(な――――!??
まさか、これは....あの伝説のファンタジア・白金VIPチケットなのか....!?)
ワシは驚愕の余り、チケットを凝視する。
ファンタジア・白金VIPチケットとは、ファンタジアと言う超人気キャバクラで、発券されているチケットなのだが――。
それを手にするには、途方もない労力を要するのだ。
銅のスタンプカードに、印30個で銀のスタンプカードの印1つか、銅チケットと交換でき....。
銀のスタンプカードの印20個貯めると、金のスタンプカードの印1つか、銀チケットへと・・・・。
――と、まぁ細かな説明はさておき、白金カードの印をフルに貯めると、白金チケットに交換可能となる訳だが....。
驚くなかれ、白金チケットの特典とは指名したS級キャバ嬢を一人と、高級ホテルで優雅な一日を過ごせる超豪華特典なのである。
しかも全て無料の上に他店には無い、超エッチなサービスまでついていると言う話。
そう、かつて初代団長の松っぁんが、そのチケットを獲得しS級の戦地へと赴いた際、完全燃焼し真っ白になって戻ってきたのだから....。
そして 「藤ちゃん....オイラ燃え尽きちまったぜぃ........。」――そう言い残し彼は団長を引退した。
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