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「ロジックは拍子抜けするほど簡単だ」  コーヒーを飲みきった辻霧は、開口一番そう言った。 「簡単なもんですか。でなきゃ俺はこんなに頭を悩ませたりしていませんよ」 「あはは。まあ、まずは聞いてよ。被害者がコーヒーを先に飲んだ場合と、煙草を先に吸った場合。二つのパターンを考えてみようか。コーヒーを先に飲んだ場合。ここに毒が仕込まれていたのなら、被害者は即座に絶命していただろう。そして、煙草が吸われることはなかった。注目するべきは、この場合、煙草には毒は付着しないことだ。では毒が煙草に仕込まれていたのならどうだろうか。その吸いくちにはコーヒーを飲んだ痕跡が残っていなければ不自然だ。ここまではいいね」  横峯は黙って首肯した。
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