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「そう。より正確に言えば、紙コップの縁ね。いや、これすらも正確ではない。なぜなら、毒物反応の痕跡を辿っているのだからね」  横峯には、辻霧が何を言いたいのかさっぱりわからなかった。 「毒が煙草そのものに仕掛けられていたわけではないことをもう一度説明しておこうか。残された箱の中や、十数本あまりの煙草からは青酸カリウムが検出されなかった。ではほかに何が考えられるか。僕は、被害者の唇ではないかと考えた」 「そんな馬鹿な」 「今あげた四つのパターン。どれもが違うのだからね。残された毒の経路はこれしかない。唇、煙草、紙コップ、コーヒーの順番が正解だったのさ」 「いやいやいや。それじゃあ、唇にはどうやって青酸カリが付着したんですか」
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