好きな香りと嫌いな香り

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1時間くらい経っただろうか 酒も進み、愚痴も止まらない 「何で俺が連絡先聞かなきゃなんねぇんだよ………自分で聞けよっ!!…いい大人がっ!!……」 「声おっきいって……知り合い居たらどうすんだよ……」 「30超えてナンパ1つで何ビビってんだか……」 「まぁ……それはあるかもな……」 「だろぉ?……何であんなんが刑事になれてんだよ……」 「確か……あの人の親父さんって副総監だろ……七光りかぁ~……」 「あー、ヤダヤダっ……何であんなのの下で働かなきゃなんねぇの?…泣けてくるわ……」 「そぉ言えば…お前の親父さんも刑事だったよな……」 「ん?……」 「前言ってなかったっけ?……酔ってたから覚えてないか……偉く自慢げに話してたからさ……」 「…………そうだよ……俺が6歳の時、火事で死んだけどな……」 「うっ……」 ヤベ…… 「んな顔すんなよ~っ……別に気にして無いって………俺は父さんに憧れて刑事になったんだ……だから間違ってもあんな奴の下で働く気は無かったのにぃ~っ……」 悔し涙を浮かべる山城 俺はそっとその肩を撫でた 「………ご愁傷様……」 「もっと優しい言葉あるくないっ?!!………でも…いいよなぁ~、お前の上司…あんな美人刑事で……あの人になら、多少無茶ぶりされても許せる気がする……」 「多少で済めばいいだけどなぁ~……」 「え?…なになにっ!!……まさかあの人と……」 「んなわけねぇだろ………お前が思い描いてる様な……」 その時、俺のポケットのスマホが音を立てる 画面には工藤 亜豆の文字が ピッ 「………はい……」 「あんたどこ居んのよっ!!訓練場じゃ………居酒屋?……」 「え、いや……」 「何が訓練だコラッ……もぉいいっ!!……じゃ……」 「ちょっ!!……」 プツッ 突然掛かって来て突然切られた電話 一瞬の出来事に俺は少し固まっていた 「え?……噂をすればってやつ?……」 「ちょ、行くわ……」 「ありゃりゃ~……大変だなお前の方も……」 「お互いにな……」 同じ境遇の者同士言葉は交わさなくとも全てを分かり合えた気がした しかし、分かり合えたのも束の間俺の足は警視庁へ向けて猛ダッシュで動き出していた
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