好きな香りと嫌いな香り

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嘆いてはみるものの、酒を飲んでる俺に逃げ道は無い 必死の思いで次の早瀬さんのアパートへ 玄関口で事情聴取する 聞く内容はさっきと同じだ 「えぇ…居ましたよ?……確かこんな人…出勤途中にすれ違ったと……」 「そうですか……夜分遅くにご協力頂きありがとうございます……」 そして最後の近藤さんのマンション 1階のロビーで話を聞いた 「言われてみれば居たかもしれないですねぇ~……暗がりだったんではっきりとはしませんけど……」 「犯行時間付近でですか?……」 「コンビニにはそれくらいの時間に行ったと思うんで間違いないかと思います……」 3回の死地を乗り越えようやく本庁へと戻って来たは良いが、俺はもうヘトヘトだ 時刻も夜の11時を過ぎている 生きてて良かったぁ~…… 車から降りた時、純粋にそう思った 「じゃ、お疲れ……」 そう言いつつも工藤は本庁の建物へと向かっていく 「まだ調べるんですか?……」 「朝にも言ったでしょ?……嫌な予感するって……もう、本当に帰っていいわよ……」 冷たく言い放つと工藤はまた歩き出した でもその時、ふと勝手に足が動く いつの間にか彼女の隣を歩いている自分が居た 「最後まで付き合いますよ……その感じ手応えありですね?……」 「本当にいいってばっ……帰れ……」 「コンビニで何か買って来ましょうか?……」 「ひとの話聞きなさいよっ!!……」 「いつも聞かないでしょ?先輩……」 「うっさいっ!!……生意気言うなバカッ!!……」 「イッテッ!!……」 またお尻を蹴り上げられてしまったが、その足取りは軽かった 再び資料庫で資料を広げながら情報をまとめていく コンビニで買った弁当と飲み物を口に運びながら俺は彼女の作業を見据えていた 工藤は相変わらずコーヒーを啜りながらだが 「これで大体の流れは分かった……後は明日、証拠さえ集めてしまえば……」 「あの~………そろそろ教えてくれません?……今日1日付き合ったんだし……」 「別に頼んで無い……」 「電話して来たじゃ無いですかっ……」 「でも飲んでた……」 「まだスネてるんですか?……」 「んなわけ無いでしょっ!!……」 あっ……やっぱスネてたんだ…… 「………あんたも刑事なら自分で考えたら……」
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