好きな香りと嫌いな香り

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コーヒーの香りを楽しみながら工藤はまた一口啜る 「はぁ~……落ち着く……」 「………確かに……良い香りですね……」 「んん?……やっとこの良さに気づいて来た?……」 「別に嫌いじゃ無いですから……コーヒー……」 「えぇっ!!…そうなのっ?!!……」 工藤は驚きの表情を浮かべる 「言った事ありましたっけ?……」 「無いけど………いつも私がコーヒー飲んでる時イライラしてるから……」 カップで顔を隠しそっぽ向いて喋る彼女 あれ?……気にしてた?…… 一応気遣ってくれてたんだ…… その姿はいつもと違って見えた 「フッ……先輩可愛いですね……」 「あぁ?!!…ケンカ売ってんのっ?……」 「なんで褒めたのにそうなるんですか………別にコーヒーが嫌いじゃなくてタバコ吸えなくてイライラしてたんですよ……ニコチン切れです……」 「ふぅ~ん……………じゃあ…嫌じゃ無いんなら今度……美味しいカフェ…連れてってあげる……」 珍しい彼女からのお誘い その時俺はふと思った 彼女に悪気は無いんだと 今までの傍若無人な態度で先輩との関係悪化や初めて出来た部下の退職 だが、その全ての原因は事実を述べたからに過ぎないのだ 確信を突かれたからこそ否定したくなる 器用になれない彼女の性格で、それをオブラートに包む事は出来なかったのだろう 後、自分にも素直になれない性格も災いして 「まぁ、今回の事件の概要が分かったら……だけど……」 こんな風に 「賭けですか………いいですよ?…」 「受けて立ちます……」 「あっ、そ……」
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