好きな香りと嫌いな香り

18/23
前へ
/23ページ
次へ
「17年前の事件……」 「そう…17年前……この3人が犯した放火の罪……その犯行現場が、今回の連続通り魔事件の犯行現場の近くで行われてるの……」 「じゃあこれで犯人の動機は分かりましたねっ……」 「……犯人は17年前の事件に関与してる人間よ……」 「だから再度聞き込みしたんですか…………じゃあそのスーツを着た男が犯人……でも、なんでスーツって……」 「焦んじゃないわよ……それに、殺され方にも特徴がある……」 「殺され方?……」 「3人はそれぞれ、ナイフで刺されて死亡してるけど……1人違う箇所を刺されてる……」 「…………佐々木さんっ!!……」 「多分犯人はそれぞれの被害者の元へ確認しに行ったのよ……」 「何の確認ですか?……」 「犯行現場の写真を持って誰がやったかを……」 「そんなの……少し調べれば分かるんじゃ……」 「それが出来ないからこういう事になったんじゃない……17年前……加害者の世間での呼び名は18歳の少年A……個人情報は完全に守られてる……一般人には調べようがないわね……」 「なるほど……犯人からすれば現場写真と被害者の記憶が割り符になってると……」 ん?……一般?…… 「そういう事………そして見つけた……」 「それが佐々木さんだった……」 「1人背中を刺されてるのは復讐に来たと感じ取ったんだと思う……その恐怖から思わず逃げ出した……わざと背中に凶器を残したのはこれで最後って意味も含まれてる…………そうなると犯人の目星はつく………」 工藤はそう言ってメモ用紙を1枚めくった 「最後に殺された佐々木さん……その時の火事から生還した人間が1人居る……」 俺は指差す資料を目で追った その時、身体を走り抜けた衝撃は忘れる事は無いだろう
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加