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「よっ……」
俺は墓掃除する男に声をかける
「ん?……はっ、灰嶋っ?!!……なんでこんなとこ居んだよっ!!………仕事は?……」
驚きの表情を浮かべていたのは山城だった
「休んで来た……それがご両親?……」
「え?……おぉ……怠けて放ったらかしにしてたから汚れ酷いのなんのって……」
「手伝うよ……」
「おっ、おぉ……そしたら頼む……」
墓掃除を始めるとしばし無言になった
山城は俺の雰囲気を察してかチラチラと様子を見て来るが、俺は一心不乱に掃除する
そんな姿を見て、山城は何も言わなかった
20分くらいだろうか
丁寧な掃除を終えひと段落つく
「ふぅーっ……綺麗んなったっ!!………サンキューな灰嶋……」
「あぁ……」
やる事の無くなった俺たちはしばしば墓を見据えている
すると、おもむろに口を開いたのは山城だった
「なぁ……お前もう分かってんだろ?……」
「………何が?……」
「俺のやった事……」
「……………そうだな……」
「他は?……誰が知ってんの?……」
「まだ、誰にも言って無い……ここに来た事も……何もかも……」
「………そっか……」
カチャ
その時、隠し持っていた拳銃の銃口が俺のこめかみに触れていた
「あの美人上司にも?……」
「そうだ……」
「…………最近ふと思ったんだ……しばらく墓参りも出来そうにないだろうなぁ~って…………予感……見事的中~っ……」
「これが刑事の勘ってやつ?……」
「違うだろ………それは虫の知らせってやつだ……」
「はははっ!!……確かにそうだっ!!……」
高笑いしていた山城だがまた穏やかな表情へと変わる
「なんで1人で来た…………もしかして俺に同情してる?……」
「さぁ……なんでだろうな…………でも、同情とかじゃ無い……それは分かる…………ただ…信じてみたかった……それだけだ………」
俺たちの間で流れる空気感
言葉や目を交わさなくても分かり合えるあの感覚が辺りを包む
しかし、それを切り裂く声が
「銃を降ろしなさいっ!!……」
聞き慣れた声にチラッと横目を向けるとそこには、拳銃を構える工藤の姿があった
だが、山城もその一瞬の隙を逃さず俺を盾にこめかみに強く銃口を押し当てていた
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